外国人問題 (オーバークォリフィケーション) (1)

オーバークォリフィケーション=over qualification (過学歴 ); 耳慣れない言葉かも知れませんが、世界各国で大学進学率の上昇に対して産業構造が追いつかず、高学歴者の雇用ミスマッチが深刻化している問題のことです。
コロナ禍で注目された「エッセンシャルワーカー(生活必須職従事者)」は、社会基盤を支える欠かせない存在です。特に、医療や行政などを除いた、建設・土木・清掃・農林水産業・介護・保育・物流ドライバー・小売店員といった現場の仕事は、「3K(きつい・汚い・危険)」業務と呼ばれています。
これらの仕事は、担い手の高齢化や人手不足が深刻化しています。しかし一方で、若者の高学歴化が進むにつれて本人や家族が3K業務を敬遠するようになり、「求人はあるのに失業率は高止まり」という矛盾した状況が生まれています。その結果、これらの現場を支える労働力は外国人(周辺の途上国)に依存せざるを得ない状況になっています。この構造的な問題は、日本だけでなく、世界の先進国に共通して見られる現象です。
➀北欧(デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フィンランド・アイスランド)・ドイツ・オランダ
高学歴移民に対して資格や語学要件が厳しく、清掃・介護・運輸などに集中。アイスランドでは社会問題化。
➁英国・フランス・米国・カナダ
ホワイトカラー職枠が不足し、溢れた大卒(移民主体)が、サービス業・低賃金労働に従事。
➂南欧(スペイン・イタリア)
大卒が、観光アルバイト等の低スキル職に流れ、高失業率を招く。
➃韓国
大学進学率70%。大企業・公務員に人気が偏り、地方・中小企業を避けるため「就職浪人」「仮面浪人」が増加。
➄中国
数百万人の大卒者が非正規やブルーカラーに回り、都市部失業率を押し上げる。
世界中で「〇〇〇〇ドリーム(自己実現や子孫の繁栄の夢)」を叶えるためには、出自・運・コネがなくても、真面目に勉強して高学歴を手に入れることが最も確実な方法だと信じられてきました。それは「経済的に豊かな暮らし」と「苦しい労働からの解放」の両方を得られる最良の手段と考えられていました。しかし現実には、もはや必要以上の高学歴化は「経済的に豊かな暮らし」へのパスポートでも、「苦しい労働」への免罪符でもないことは明らかです。
高学歴の人が増え過ぎると、希望する仕事に就けない人が必ず出てきます。
一方で、社会を成り立たせるためには、3K(きつい・汚い・危険)と呼ばれる現場の仕事を担う人が欠かせません。
かつては、支配者層が被支配者層にこうした3K仕事を強制していましたが、21世紀の今はそのような方法は通用しません。そのため、妥協策・打開策として「外国人労働者の受け入れ」が進められてきました。
ここで取り上げた➀~⑤の国々は、それぞれ歴史や文化の違いから事情も異なります。しかし、最近はどの国でも移民に対する認識が変わりつつあります。
次回は、これらの国々と日本とを比較しながら、この問題を考えてみたいと思います。

