外国人問題 (外国人労働者の受け入れ)

最近の日本の「外国人排斥」の風潮は、世界情勢が大きく変わっているにも関わらず、大袈裟ですが、150年以上前の「尊王攘夷運動」を連想させます。常識ある人々は冷静に受け止めると信じたいですが、政治家、学者、評論家、ユーチューバーといった影響力のある人々が、過激で思慮を欠いた発言を繰り返すのを見ていると、懸念を抱かざるを得ません
現実を直視すると、日本に住む外国人は約370万人。そのうち約230万人が労働者で、残りは家族です。高度人材(弁護士、公認会計士、研究者、教育者など)も一部いますが、全体の数%に過ぎません。95%以上は「技能実習」や「特定技能」の制度等を通じて、アジアや南米から来日し、農業・製造業・建設業・介護といった3K職場の肉体作業者(ブルーワーカー)として人手不足を補完する役割を担っています。
外国人労働者は大きく3つに分けられます。
工業都市型(愛知・静岡・群馬など)
南米(日系ブラジル・ペルー)が中心。自動車関連主体。大手メーカーの下請け工場の現場で働いています。
農村地域型(北海道・東北・中部・九州など)
アジア(ベトナム・中国・フィリピン)が多く、大規模~中規模農家で、技能実習者や特定技能者として農作業の現場で働いています。
都市部型(東京・大阪・川口など)
多国籍コミュニティ(中国・韓国・クルド人・ベトナム・ネパールなど)が形成され、建設業、解体業、運送業、産廃処理、流通、小売、観光、介護など多様な分野で働いています。
これらの人々はすでに地域社会の一部溶け込んでおり、多少の摩擦はあるものの、日本社会を支える必要不可欠な存在になっています。

外国人の排斥を主張する人は、現実をどこまで理解しているのでしょうか?  実際には、彼らがいなければ多くの産業が成り立たず、社会生活そのものが麻痺してしまうのは明らかです。

日本人の若者は「オーバークォリフィケーション(学歴・能力が高すぎて職種に合わない)」の影響で、こうした分野に就こうとしません。一方で、少額年金や少ない貯蓄を補うために働いている高齢者にとっても、体力の限界から離職・引退が増えています

もちろん、外国人の替わりに、日本人の給与を大幅に引き上げ、新卒者を大量に送り込む方法も考えられます。しかし現実には難しい面があります。なぜなら、日本の産業は 「大企業 ⇒ 系列・関連の中小企業 ⇒ 町工場・個人事業主」 という下請け構造に組み込まれているからです。製造業・農業・建設業と分野は違っても、同じように多重下請けの仕組みが定着しています。そのため、国からの予算や補助金が投入大型受注があっても、中間の段階で中抜きされ、最前線の現場作業者には十分に行き渡りません

加えて、現場の労働条件は厳しいのが実情です。屋外での作業悪天候下の労働深夜勤務長時間労働社会保険や安全環境の未整備など、安定雇用が難しい状況が続いています。結果として、日雇い労働者外国人労働者レベルの低賃金でしか成り立たない業界になっているのです。

したがって、外国人受け入れの是非以前に、日本の将来を考えた、大胆な業界の構造改革が不可欠です。そのうえで、外国人を「人道的」「友好関係維持」といった理由で成り行き任せに受け入れるのではなく送り出し国受け入れ国Win-Winの関係 を築ける仕組みを、国家間レベルで構築していくことが重要です。

その為には、「業界の構造改革」に付随して、次の実行が必要です。
➀この業界の給与や労働環境を大幅に改善し、国内の新卒者の就職数を戦略的に増やすこと。
外国人労働者を受け入れる際に、「どの国から、どの地域へ、どの業界に配置するのが適切か」を熟慮した割り当てを行うこと。
➀と➁の適正な配分を見据えて5年~10年先の中期計画を策定し、着実に実行していくこと が、日本の将来にとって不可欠だと思います。

 

 

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