数字でみる少子・高齢化の実態 (4)・・・2050年世界の人口構造(Ⅱ)

簡単に前回の内容を振り返ります。
円グラフで示した現役世代(緑色)の減少は、単に「生産人口が減る」という問題だけを意味するものではありません。同時に、「消費人口も減る」ことを意味しています。
つまり、働き手不足、消費活動の低下、という二つの問題が、同時に発生します。「ロボットやAIの導入が進めば、人手不足は解消できる」という意見もありますが、これには重大な見落としがあります。ロボットやAIは、「生産はできても消費はできない」からです。
経済は、生産と消費、需要と供給がバランスよく循環してこそ成り立ちます。需要が縮小すれば、どれほど生産効率を高めてもGDPは伸びず、国力は確実に低下します。
さらに、少子高齢化率や現役世代の割合に加えて、より本質的な視点があります。それが人口の増減そのものです。少子高齢化率や現役世代率とあわせて、この点からも議論する必要があります。
今後2050年に向けた約25年間で、人口が大きく減少するのは日本を含む東アジアの一部の国々だけです。具体的には、日本、韓国、台湾、そして中国です。これは決して世界共通の傾向ではありません。
東アジアの国々は、少子高齢化、現役世代の縮小、人口減少という**「三重の打撃(トリプルパンチ)」**に直面する、きわめて深刻な状況にあります。
一方、世界の多くの国では人口は増加します。
例えば、
- アメリカ:3億4700万人 → 3億8000万人(3300万人増、10%増)
- イギリス:6900万人 → 7500万人(600万人増、10%増)
他の欧米諸国も、数%規模の緩やかな人口増が見込まれています。
これに対して東アジアでは、
- 日本:1億2300万人 → 約1億400万人(1900万人減、18%減)
- 韓国:5100万人 → 4500万人(600万人減、13%減)
- 台湾:2300万人 → 1900万人(400万人減、21%減)
- 中国:14億1600万人 → 12億6000万人(1億5600万人減、12%減)
と、大幅な人口減少が予測されています。
一方、アジアの新興国では人口が大きく増加します。
- インド:14億6300万人 → 16億7900万人(2億1600万人増、15%増)
- インドネシア:2億8500万人 → 約3億2000万人(3500万人増、12%増)
- フィリピン:1億1600万人 → 1億3400万人(1800万人増、15%増)
さらに、アフリカの新興国では、より急激な人口増加が予測されています。
- ナイジェリア:2億3700万人 → 3億5900万人(1億2200万人増、50%増)
- スーダン:5100万人 → 8500万人(3400万人増、66%増)
- ルワンダ:1500万人 → 2300万人(800万人増、53%増)
全体を通して見ると、わずか25年間で
- 中国は約1億5000万人減少し、
- インドは約2億人増加し、
- アフリカでは人口が50%以上増える国が続出します。
特に印象的なのは、フィリピンの人口増加分が、日本の人口減少とほぼ同じ規模であること、そしてナイジェリアでは25年間で日本の総人口に匹敵する数が増えるという点です。
世界に目を向けないと井の中の蛙になってしまいます。、このような現実を直視せずに、日本を含む東アジアの将来を語ることはできません。イデオロギーや一時的な国民感情に煽られ、隣国同士が対立している場合ではなく、互いに冷静に状況を見据え、協力の道を探るべき段階に来ていると思います。

