高市ショック (5)

高市総理の現在の高い支持率は「安定した国民的合意」の上に成り立っているとは思えません。。冷静に考えれば、いくつかの構造的要因が重なって生まれた「見かけ上の支持率」である可能性が高いと思います。
① 高市総理の高支持率は「積極的支持」より「消極的支持」が中心。
世論調査を読み解く際に重要なのは、「なぜ支持するのか」ではなく、「なぜ不支持しないのか」です。現在の支持の内訳は、おおむね次のような層で構成されていると考えられます。
- 初の女性総理と言う新鮮感に魅力がある。他に明確な選択肢が見えない
- 強い言葉=決断力があるように見える
- 世界情勢、安保不安が続く中で「強い姿勢」に安心感を覚える
- まだ実績評価の段階に入っていない(様子見) つまり、「具体的な期待」というより「情緒的な不安回避」の支持であり、政策の中身が十分に吟味された結果ではありません。
② マスコミは「忖度」と「萎縮」によって批判機能が弱まっている。
マスコミ(特にオールドメディア)が、石破政権時代に散々叩かれた経緯に委縮している。その為、現在のオールドメディアの心理状態は:
・「政権を叩けば叩くほど“マスゴミ”と攻撃される」
・ SNSで炎上するリスクを避けたい
・報道の中立を保つより「攻撃されないこと」を優先したい
その結果、政策のリスクや矛盾を深掘りせず、“様子見報道”に終始するという状況が生まれています。これは健全なジャーナリズム、健全な民主主義にとって、かなり危険な状態です。
③ 「右傾化」は政治よりも、メディアと世論の相互作用で進んでいる。重要なのは、右傾化を主導しているのは必ずしも政治家本人だけではないという点です。
- SNSで過激な意見ほど拡散される
- メディアはそれに引きずられ、刺激的な言説を採用
- 結果として「強硬=正義」「慎重=弱腰」という空気が作られる
この循環の中で、冷静で現実的な外交・経済論が可視化されにくくなっているのが現状です。
④ 経済の視点から見ると「強硬路線」は明確にハイリスクです。「日本経済の現実」を冷静に見ると、
- GDPは相対的に低下
- 人口減少と高齢化
- エネルギー・食料・原材料の多くを輸入に依存
- 技術・市場の両面で国際分業が不可欠
この条件下で、周辺国との摩擦を増やす外交は、国益に直結しません。特に、中国・韓国・台湾・ASEANとの関係は、「価値観」よりもまず経済とサプライチェーンの安定が最優先事項です。
⑤ 本当に必要なのは「したたかな現実外交」
「強い姿勢」と「巧妙な外交」は別物です。日本に必要なのは、表では原則を語る、裏では妥協点を探る。発言のタイミングと表現を慎重に選ぶ、経済・安保・外交を分けて考える。いわば、感情を抑えた“巧みなTPO外交”です。これは派手さはありませんが、国力が相対的に低下している国ほど、不可欠な戦略です。高市総理は"安部総理の後継者"を自認しているようですが、この点では雲泥の差です。
したたかな自民党が、健全な保守として日本をリードして欲しいと思います。
⑥ 今の高支持率は「脆い」
最後に重要な点です。現在の支持率は、円安がさらに進む、物価高が続く、実質賃金が改善しない、外交で具体的な摩擦が顕在化する。このどれかで不満が抑えられなくなると、驚くほど早く崩れる可能性があります。なぜなら、生活実感に裏付けられた支持ではないからです。「強く見せる政治」より「生き残る政治」こそ、今の日本に求められているのだと思います。


