高市ショック (6)・・・エンタメ内閣

高市内閣の高支持率は、政策ではなく「政治のエンタメ化」に支えられている
高市内閣は、目立った政策論争がないまま、就任からわずか3か月で衆議院解散を宣言しました。「働いて、働いて……」というスローガンも、具体像が見えず、「動いて、動いて……」と言っているだけのようにさえ聞こえます。
それにもかかわらず、内閣支持率は70%超という異常な水準を維持しています。TVの街頭インタビューで20代の主婦が「よくわからないけど、何かやってくれそうな期待感があります」と言っているのを見ました。正直なところ、何故そういう思考になるのか理解できませんでした。
そこで、若者~ミドル世代まで、いろいろなルートで話を聞き、彼らの本音を探ってみました。すると、共通する感覚が浮かび上がり、ようやく腑に落ちたのです。
結論:高支持率の正体は「政治のエンタメ化」
結論から言えば、高市内閣(あるいは高市人気)が高支持率を得ている最大の理由は、政策評価ではなく、「政治がエンタメ化した社会」に極めてうまく適応している点にあります。
これは偶然ではありません。むしろ、現代日本で「政治が理解不能になってしまった社会構造」への、計算された適応だと考えます。
有権者側で起きている意識の変化
多くの有権者にとって、政策は専門的すぎて分からない、一生懸命働いても報われない、投票しても何も変わらない、それについて、どの政党も納得できる説明をしてくれない……こうした経験が積み重なっています。
その結果、多くの人が「政策で政治を評価する能力も意欲も奪われた」と感じているのです。この状態で政治に再び関心を向けさせる唯一の回路が、**政策論争ではなく、感情・物語・キャラクターによる“エンタメ化”**です。
高市ストーリーは典型的なエンタメ構造
高市政治のストーリーは、完全にエンタメ手法に沿っています。時代劇・少年漫画・Vシネマに共通する構図です。
敵役:外圧、既成勢力、官僚、忖度政治、リベラル言論
手法:具体的な国名・人物名を挙げ、強い言葉で断定する
主人公:歯切れが良く、迷わず、忖度しない強い個性
前哨戦は地方首長選挙だった
男性ヒーロー編(石丸・斎藤)
既成勢力と戦うアウトサイダー、攻撃的で断定的、「嫌われても言う」正義漢、エリートでありながら、反エリートを演じるヒーロー像です。
女性キャラ編(田久保・小川)
批判と炎上を一身に集める、好き嫌いが極端に分かれる、「ヒール田久保」「ぶりっこ小川」という強烈なキャラ配置は、エンタメとして非常に分かりやすい役割分担でした。
最終章:ラスボス高市の登場
こうした流れの先に登場したのが、高市総理です。
女性初の内閣総理大臣、強い言葉、迷わない態度、片山、小野田といった人物は、忠誠心が明確で、主張を主役に集約する、安定した脇役です。これは水戸黄門や半沢直樹と同じ、**「主役を引き立てる助さん格さん型配置」**です。
なぜ高市が「格好良く見える」のか
政策の是非は二次的
政策の整合性、実現可能性、財源論。これらは無関心層・疎外感層にとって、もはや評価不能です。代わりに評価されるのは、言い切る、迷わない、怯まない、忖度しない、というヒロイン像そのものです。「自分の代わりに言ってくれる人が現れた」……この感覚こそが、最大の支持理由です。
なぜ無関心層・疎外感層に刺さるのか
理由は明確です。理解しなくていい(感じればいい)、自己投影できる(言えなかったことを言ってくれる)、逆転願望(既成勢力に勝つ物語)、勝ち馬に乗れる(強そう、負けなさそう、気持ちいい)……これは政治ではなく、エンタメの構造です。
高市人気が抱える危うさ
高市人気は、政策評価ではなく、エンタメとしての政治心理の産物です。そのため、飽きられるのも早い、物語が破綻した瞬間に反転する、政策失敗が「裏切り」に変わりやすい、という危険性を内在しています。
良識ある自民党と中道改革連合への期待
本来の自民党は、戦後日本を支えてきた中心勢力です。国会議員、地方議員、無所属を含めた穏健な保守層こそが本来の「核」だと信じたいです。右傾化に萎縮せず、中道改革連合(立憲+公明新党)と、正面から政策論争をしてほしいと思います。同時に、両陣営とも、無関心層・疎外感層に届く、分かりやすい政治リテラシーを持たなければなりません。
そうでなければ、日本の政治の中心は、完全に「エンタメ政治」に乗っ取られてしまいます。


